01 シーラカンスの憂鬱
02 夜更けのサイレン
03 ココナツの風
04 羊歯の葉の裏
05 赤茶けた街の太陽
06 浮世の習い
07 澄んだ冬空の日も
08 空と海のランデブー
09 Let’s go to the other side
10 雨の夜に抱かれ
11 ハレルヤ ブルースカイ
12 Diamond Planet
井上富雄名義としては4枚目に当たるアルバム「Diamond Planet」
3枚目までは密かに溜めて温めておいた曲が多かったのですが、今回は古い曲もありますけど最近(ここ2~3年)作った曲が中心となりました。
今年はまだ活動をしていませんが、昨年までは気の合うメンバーと都内のライブハウスでたまに演奏して来ました。当初は当然このバンドメンバーで録音を考えていました。何がきっかけだったかよく覚えてませんが、いわゆるDAWを駆使してどこまで自分で出来るかトライしてみたくなりまして、今回のアルバムは八割型一人で作りました。
従来通り、作曲、作詞、編曲、歌、ベースはもちろんギターにキーボード、プログラミング、曲によってはバッキングボーカルもやりました。
おまけに12曲入りアルバムにしようとハードルを上げたものだからなかなかの仕事量になりました。
今回はインストゥルメンタルもなく12曲全部歌ものです。なぜそんなにと自分でも思うのですが、曲が出来た以上すぐに出すべきだと思ったし、やれる時に作っておかないとこの先いつ作れるかわからないと言う思いに駆られまして結果こういう形になりました。
一人で作る利点は細部にまで自分の納得する音が鳴っているということですね。ミュージシャンに演奏してもらうとみなさん上手く熟すので、それいい感じとなるわけで、それはそれで良いのですが、今回は自分の能力を絞り出してみようと挑戦してみました。できる範囲ではありますが、新たな自分の技量にも気付かされたりもしました。
僕の環境的にはロックアーティストとの関わりが多いですし、実際ロックが大好きではありますが、僕の作品自体はそれほどロック的でないものもあるというか、むしろ少しはみ出たジャンルの音楽が多いと思います。
前作まではあえてそのはみ出た感じを提示したくて作っていましたが、今回はあまりそういうことにこだわらず思いついたままのアレンジでやりたいようにやってみました。
結果として今までよりはロック的アルバムになったような気がします。
DAWを駆使して一人で作って来ましたが、やはりどうしても人の力を借りないと出来ない曲も出て来ます。
そこで友人知人のミュージシャンにお願いすることにしました。
小倉在住で世界的に活動しています尺八奏者の山崎箜山さんに一曲、サックス奏者に八幡出身、高倉健や大江慎也の母校東筑を出て東大に行ったというかわり経歴?の田中邦和君に二曲。
余談ですが、今回のアルバムの裏テーマは北九州というのをなんとなく掲げてまして、先日発行された175RのShogoくん中心に編集された本「北九州音楽全史」に影響受けた節もありますが、これには登場していない素晴らしいクリエーターもたくさんおるよ的なことで、エンジニアには門司出身の天才、YMO関係云々な飯尾芳史さんにミックスを頼みました。アートワークはこの方も門司出身の佐藤祐作さん。80,90年代はさくさんアルバムジャケットを手がています。
ジャケット写真は北九州の隣町出身ですが、石川浩太郎さんで、撮影場所は小倉の平尾台で。とここまで北九州近辺でまとまりました。
数曲生のドラムに差し替えたいと思い、やはりドラムはいつもバンドでやってもらっている田中徹くんに頼みました。
それと今回のリーサルウェポン的存在のギタリスト松田文さんに数曲弾いてもらいました。
みなさん最高にカッコいい演奏を披露してもらいました。
前作「遠ざかる我が家」の制作はコロナ禍真っ只中だったのでほとんど誰とも会わずデータのやり取りだけでしたから、今回は数曲だけでもスタジオで面と向かって作業できたのはやはり楽しかったですね。
そういゆうことで初めてと言っていいほどいろんな箇所まで納得のゆくアルバムができました。もう家宝にしたいし棺桶に入れて一緒に燃やしてもらい作品です。
作り終えてみて今さらではないですが、技術の進歩とか諸々時代はどんどん変化して行くもんだなと。音楽制作に昭和から携わってる者としては信じられないくらいの進化です。高いスタジオを借りなくても良いし、ミュージシャンを呼ばなくても良いし、そういう意味では音楽制作のハードルがとても低くなったのは良いことだと思います。
でもやっぱり楽しい仲間とスタジオでセーノで録るのも恋しいですね。
2023年7月